患者様の不安にお答えします!後発品の効果は変わりませんって本当?

10月から薬局での選定療養が始まり、先発品から後発品へ切り替える患者様が増えています。そこで、実際に患者様から多くいただいた疑問について、分かりやすく解説してみたいと思います。この記事が患者様の後発品に対する不安を和らげることができれば幸いです。

「効果は変わりませんって本当?」

薬剤師から「有効成分が一緒なので効果は変わりませんよ」と説明を受けたことがある方も多いと思います。これは間違いではないのですが、さまざまな事実や定義が省略されがちです。「有効成分が同じなのは分かったけど、本当に同じ効果が得られるの?」と、患者様が疑問を抱くのも無理はありません。

「そもそも薬の効果って何で判断するの?」

まず、薬の効果に関わる要素の一つに血液中の濃度(血中濃度)があります。薬が体内に入ると、消化吸収されて血流に乗り、一定の濃度が保たれることで目的とする作用が発揮されます。そのため「血中濃度」は、薬が体内でどのように吸収されるかを示す指標となります。これが「最小有効濃度」(薬が効果を発揮し始める濃度)から「最小中毒濃度」(副作用が出る濃度)までの範囲に収まることが理想です。この範囲のことを「治療域」と呼び、治療域内に血中濃度を保つことが薬物治療の基本となります。

したがって、「薬の効果」というのは、「血中濃度」が治療域にあるかどうかで判断できます。

「血中濃度はどうやって調べているの?」

後発品が先発品と同じ効果をもたらすかどうかを確認するために行われるのが「生物学的同等性試験」です。この試験では、健康な人に先発品と後発品をそれぞれ一定量服用してもらい、血中濃度がどのように変化するか(薬の吸収・分布・排泄の速度と範囲)を比較します。具体的には、AUC(濃度-時間曲線下面積)とCmax(最高血中濃度)という指標で評価されます。

AUCは、薬が体内にどのくらいの時間、どの程度存在するかの総量を示し、Cmaxはその最大濃度を示しています。これらが先発品と後発品でほぼ同じであれば、体内での動きもほぼ同じであるとされ、同じ治療効果が期待できるとされています。

厚生労働省の後発医薬品承認基準では、先発品と後発品のAUCとCmaxが「90%信頼区間」の範囲内で、80%〜125%であることが求められます。この範囲を満たしていることで、薬の吸収・効果がほぼ同じだとみなされ、先発品と後発品が「同等の効果」を持つと判断されます。

「80%〜125%って幅が大きくない?」

年齢や体重、代謝の速さ、食事、生活習慣などによっても血中濃度は変動するため、薬の血中濃度が20%程度変動しても、安全性や効果に大きな影響がないとされています。80%〜125%という範囲は、このような人の体内での薬の挙動のばらつきを考慮し、実質的に「同等」とみなす範囲として設定されています。この基準は、薬の開発に関する国際ガイドラインで推奨されており、日本の厚生労働省もこれに準じて後発品の認可を行っています。つまり、後発品は先発品と同じ治療効果を得られるよう、世界基準の厳密な試験をクリアしていると言えます。

まとめ

上記の知識や情報を基に薬剤師は「有効成分が一緒なので効果は変わりません」という説明をしています。言い換えると、「先発品と同じ有効成分が、同等の血中濃度を示すことが保証されているので、同等の効果を得られるはず」ということです。

しかし、薬の効果を感じるかどうかは患者様それぞれで異なる(個人差がある)場合があります。そのため、後発品に変えたことで効果を感じにくくなったり、逆に後発品の方が効果を感じられた方もいらっしゃいます。服用してみて気になることがあれば、どうぞお気軽に薬剤師にご相談ください。

次回の患者様の不安にお答えする!では、「副作用とアレルギーのリスク」について、解説しようと思います。

ほんだ薬局では、患者様に寄り添い、薬の選択をサポートしてまいります。気になることがあれば、いつでもご相談ください。